ヘルスケアnote
Health care note
フレイル予防で健康寿命を延ばす
「フレイル」という⾔葉を聞いたことがありますか?フレイルとは、年をとって体や⼼のはたらき、社会的なつながりが弱くなった状態のこと。75歳以上の⽅が加⼊する後期⾼齢者医療制度では、2020年度からフレイル健診が始まりました。超⾼齢社会といわれる⽇本において、⾼齢化という問題は避けて通れません。若い世代の⽅も、いずれ訪れる⾃分たちの課題であると捉え、フレイルについて⼀緒に考えていきましょう。
フレイルとは
フレイルは、Frailty(虚弱)という⾔葉に由来するもので、2014年に⽇本⽼年医学会によって提唱されました。健康な状態と要介護状態の中間に位置するとされ、そのまま放置すると要介護状態になる可能性が⾼いといわれています。
厚⽣労働省の調査によると、「介護が必要となった主な原因(上位3位)」は、「認知症(17.6%)」、「脳⾎管疾患(16.1%)」、「⾼齢による衰弱(12.8%)」となり、フレイルが3番⽬に⼊りました。フレイル対策は、国⺠全員で取り組むべき問題だといえるでしょう。
フレイルを構成する3つの要素
フレイルは、「⾝体的な衰え」「精神、⼼理的な衰え」「社会的な衰え」の3つの要素が相互に影響しあい、発症、悪化します。しかし、早期に気づいて適切な取り組みをすれば、健康な状態に戻ることができます。
フレイル予防の3つの柱
⾝体活動
⾝体活動は筋⾁の発達以外にも、⾷欲、⼼の健康、⽣活習慣病の予防にもよい影響を与えます。ウォーキングやストレッチなど、今より10分多く体を動かしましょう。
現代では、スマートフォンでも簡単に⽇々の歩数が測定・記録ができます。歩くとポイントが貯まるアプリなどもありますので、⾃分のペースで楽しみながら続けてみましょう。
社会参加
趣味、ボランティア、就労などで外出する機会を持つことは⼤切です。コロナ禍で、⾝体活動、そして社会参加ともに減少している⽅も多いのではないでしょうか。少しずつ⽇常が戻りつつある今、新しい趣味やサークルを探してみるのもよいでしょう。
栄養
⾷べることは⽣きること、⾷事は活⼒の源です。バランスのとれた⾷事を3⾷しっかりとりましょう。コロナ禍により、⼀⼈で⾷事をする「孤⾷」が増加しています。「⼀⼈だから簡単に済ませよう」と思いがちですが、特に⾼齢者の⽅の体重減少はフレイルの発症、悪化につながります。
また、筋⾁の材料となるタンパク質を意識してとることも⼤切です。⾖腐や⿂の⽸詰、ヨーグルトやチーズなどはそのまま⾷べられるため、調理の時間もかかりません。「令和元年度⾷事摂取基準を活⽤した⾼齢者のフレイル予防事業」(厚⽣労働省)には、タンパク質を⼿軽により多くとる⽅法が書かれていますので、参考にしてください。
「⾷べて元気にフレイル予防」(厚⽣労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/000620854.pdf
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タンパク質制限の指⽰がある⽅は医師にご相談ください。
⼝腔機能の衰え「オーラルフレイル」
⼝腔機能のささいな衰えのことで、オーラルフレイルの⼈はそうでない⼈と⽐べてフレイルの発症率が⾼いことがわかっています。栄養を体にとり込むため、⼈と会話するためにも、⼝腔機能を良好に保つことは重要です。まずは⾃分の⼝の中に関⼼を持ちましょう。
特に、⻭周病は初期段階だと症状に気づきにくいため、⻭磨きの時に出⾎するなど、気になる症状があれば⻭科を受診しましょう。
こんな症状ありませんか?
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滑舌が悪くなる
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食べこぼし
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軽いむせ
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硬いものが噛みにくい
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口の中が乾燥する など
フレイル予防は、日々の生活習慣と大きく結びついています。若いときから、しっかり食べて動いて笑って…。そんなよい生活習慣を積み重ねて、健康寿命を延ばしていきたいですね。